マットレスの違いは身体を支える芯材にあって、スプリング・ウレタン・ファイバー・ラテックスなどの種類があります。

昨今では、ウレタンやファイバーといった非金属素材の性能・耐久性が、スプリングマットレスと同等かそれ以上になっているので、選択肢の幅もグンと広がっていますね。
スプリングorノンスプリングマットレスの特徴や違い、選び方を紹介していきますので、よろしければ参考にしてください。
マットレスの種類|スプリング

スプリング系マットレスの種類と特徴について
スプリングマットレスとは、マットレスの中に鋼鉄製のスプリングを内蔵したマットレスです。
【スプリングマットレスの特徴】
- 鋼鉄製のパーツを多用しているため高強度。
- スプリングの鋼材の材質・巻き方・配置等で微細なセッティングが可能。
スプリングマットレスは、身体を支える保持力と反発性能に優れるため、腰痛予防や寝返りのサポートに優位性があります。
なお、スプリングマットレスには、コイルと製法の違いにより、2つのタイプがあります。
【ボンネルコイルマットレス・ポケットコイルマットレス 特徴一覧】
ボンネルコイル | ポケットコイル |
![]() | |
【特徴】 ●コイル連結の向きや方向などを改良することで、スプリングが寝返り時の身体の動きに追従するようになっている。 | 【特徴】 ●独立したコイルが、単独で衝撃を吸収してくれるため、体圧分散性に優れる。 ●身体の小さい方や、ベッドをシェアする方に向く。 |
【デメリット】 ●振動がマットレスを伝わりやすいため、シェアする方には不向き。 | 【デメリット】 ●身体が大きい人には沈み込みが大きくなりがち。 |
ちなみに、ボンネルorポケットコイルで迷った時は、次の基準で選ぶのがおすすめです。
【ボンネルorポケットコイル 要素別おすすめユーザー】
ボンネルコイル | ポケットコイル | |
身体の大きさ | 大きい方・筋肉量が多い方 | 身体の小さい方・筋肉量が少ない方 |
重視する性能 | 寝返り性能重視 | 体圧分散性能重視 |
利用人数 | 1人で寝る方 | 2人以上でシェアする方 |
マットレスの種類|ノンスプリング

ノンスプリング系マットレスの種類と特徴について
ノンスプリングマットレスとは、スプリングを使わないマットレスです。
【ノンスプリングマットレスの特徴】
- 非金属パーツのため、軽量。
- 多機能。
- 簡単に加工できる。
- 安価。
- 廃棄も楽。
ノンスプリングマットレスは、スプリングマットレスよりも加工や分解が簡単にでき、デザインの自由度・収納性にも優れます。
ノンスプリングマットレスの種類は、おおむね次の3つに分かれ、性質も大きく異なります。
【ノンスプリングマットレス 主要3素材 特徴一覧】
ウレタン | ファイバー | ラテックス |
![]() | ||
【主成分】 ●ポリオール ●ポリイソシアネート | 【主成分】 ●ポリエチレン | 【主成分】 ●天然ゴム |
【特徴】 ●製造方法次第で、反発性能も低反発性能も通気性も付与できる。 ●成型が簡単で、コストパフォーマンスに優れる。 | 【特徴】 ●通気性がよい。 ●薄くても反発性能が高く、携帯性にも優れる。 | 【特徴】 ●殺菌・抗菌作用に優れる。 ●反発性能と耐久性が抜群に高い。 ●保持力も高く、底つき感が薄い。 ●日本では、ラテックスのみのマットレスより、詰め物の一部にラテックスを用いたものが多い。 |
【デメリット】 ●基本的には通気性がない。 ●熱に弱い。 | 【デメリット】 ●硬めで、体圧分散性がやや弱い。 ●熱に弱い。 | 【デメリット】 ●重い。 ●高額。 ●アレルゲン(ラテックス)。 ●通気性が悪い。 ●熱に弱い。 |
非金属ながら、スプリングマットレスと同等の耐久性・体圧分散性・高反発性を備え、スプリングマットレスよりメンテナンス性に優れています。
ウレタン素材の規格・特徴などをまとめました。詳しくお知りになりたい方は、こちらもご覧ください。
マットレスの種類|厚さの違い

マットレスの厚さについて
マットレスは、厚いほど複数の性能を持っているのが一般的で、厚みが増すほど寝心地が上質になります。
【厚みのあるマットレスの特徴】
- 複数素材の相乗効果で寝心地がアップする。
- 体圧分散や反発力などの性能が安定する。
- 衝撃吸収力がマイルドになる。
- 静粛性が増す。
ちなみに、厚みが増すパターンには2種類あるので、厚みの理由を押さえていると、複数のマットレスを比較するときに役立ちます。
【厚みが増す2つのパターン】
- 特定の素材だけ厚みが増すパターン:柔らかさと耐久性がアップします。
- 素材の数が増えることで厚みが増すパターン:性能が複雑になり、寝心地が全体的にアップします。
マットレスの種類|価格(耐久性)の比較

価格&耐久性で比較
マットレスの耐久性は、ラテックス・ファイバー以外は、基本的に価格と比例します。
ただし、素材に関係なく上限は10年程度です。
【価格帯別 耐久年数(目安) 一覧/シングルサイズ】
価格帯 (万円) | スプリング | ノンスプリング | ||
ウレタン | ラテックス | ファイバー | ||
~5万円 | ~5年 | 3年 | 10年 | 3年 |
6万円~10万円 | 5年~8年 | 10年 | ||
11万円~ | ~10年 |
ノンスプリングマットレス(ファイバー以外)も、同じ価格帯なら、スプリングと同程度かそれ以上の耐久性を持つのが一般的です。
スプリングマットレスの耐久年は、メーカーかショップ店員に直接聞くしか知る術はありません。
ちなみに、鋼線規格(JIS)で耐久年数を予測する方法は、平成30年よりできなくなりました。
【新しい品質表示について】
平成30.4.1より表示方法が変わり、表示ラベルやメーカーの公表データに、スプリング規格が掲載されなくなりました。
よって、今後 耐久性を確認したい時には、店員さんへ個別に伺うしかなさそうです。
出典:消費者庁
なお、スプリングマットレスの保証期間は有名ブランドでも「2年」が多いです。
【スプリングマットレスの耐久性 最大でも10年の理由】
スプリング自体は、材質によって10年以上も余裕で耐えますが、詰め物やファブリックが10年以上持ちません。
よって、スプリングマットレスの耐久年数は、最大でも10年となります。
ウレタンの密度はデニール(D)という数値で表すことができ、数値が高いほど耐久性が高く、価格も高額になります。
ちなみに、高い負荷がかかる寝具には、30D以上のデニール値が必要と言われています。
ウレタンの硬さ・密度について詳しくお知りになりたい方は、こちらもご覧ください。
特殊素材のため、仕様からスペックを読み取るのは難しいです。
そのため、製品の保証期間やメーカーに直接聞いて確かめるしか方法はありません。
概ね、保証の1.5倍程度は耐久しますので、製品保証から逆算するのが手っ取り早いです。
なお、耐久年数は、使用者の体重・メンテナンスの有無・使用環境によって、大きく変わります。
あくまでも、標準的な目安とお考え下さい。
マットレスの種類|重さの比較

厚さ&重さで比較
マットレスは、掃除やメンテナンスなどで動かす機会も度々あるため、重量も気になるポイントです。
ちなみに、標準的な成人男女が一人で苦労なく動かせるマットレスの重量は、15kg程度だと思います。
マットレスの重量は厚みと比例するため、代表的な5種の厚みに分けて比較してみました。
【厚さ×マットレス重量(目安) 一覧/シングルサイズ】
厚さ (cm) | スプリング | ノンスプリング | ||
ウレタン | ラテックス | ファイバー | ||
~5 | – | 3.5kg | 8.5kg | 7.8kg |
10 | – | 8kg | 15kg | 14kg |
20 | 22kg | – | – | 22.5kg |
23 | – | 18.1kg | 30kg | – |
25~ | 30kg~ | – | – | – |
マットレスを動かすには物理的な腕力も必要なので、自分の腕力と相談しながら選ぶのも一つの選択方法です。
マットレスの種類|通気性の比較

通気性で比較
マットレス本体に通気性があると、睡眠の質も上がるため、できるだけ通気性のよいマットレスを使うのはおすすめです。
マットレス自体に通気性があると、以下の点でメリットがあります。
● 衛生的に保たれる

通気によってカビ・ダニの繁殖を抑制できます。
● マットレスの寿命が延びる

結露やカビは、錆・浸食・汚染を促進し、マットレスの劣化を早めます。
通気することで結露やカビの発生を抑制できるため、マットレスの寿命が延びます。
● 睡眠の質が高まる

睡眠中に上がる温度と湿度を適度に循環させることで体温を下げ、目覚めにくく、休息効果の高い睡眠環境に整えます。
結露の仕組みやマットレスの通気対策についてまとめました。詳しくお知りになりたい方は、こちらもご覧ください。
【素材別 通気性非価格 一覧】
スプリング | ノンスプリング | |||
ウレタン | ラテックス | ファイバー | ||
クローズセル | オープンセル | |||
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【特徴】 詰め物が少ないため通気に有利。 | 【特徴】 素材自体に通気性・吸湿性がない。 | 【特徴】 素材自体に通気性・吸湿性がある。 | 【特徴】 素材自体に通気性・吸湿性がない。 | 【特徴】 隙間が多く、通気性は高い。 |
【通気対策】 ベンチレーションで通気促進。 | 【通気対策】 | – | 【通気対策】 ボーリング加工で通気対策。 | – |
通気性に有利な素材はファイバー・オープンセルウレタンですが、各マットレスでは、素材に適したユニークな通気対策を採用しています。
マットレスの種類|メンテナンス性の比較

メンテナンスのやり易さで比較
マットレスは、ベッドフレームをつかっていても、定期的なメンテナンスが必要です。
マットレスのメンテナンス方法は基本的に次の2つです。
❶ ローテーション

寝る位置はだいたい決まっているため、一箇所にかかる圧力や摩耗を分散し、マットレスの劣化を緩やかにする方法です。
- やり方:マットレスを上下・裏表を反転させる。
- 頻度:3ヵ月に1度程度
❷ 室内干し

湿気を溜め込みがちなマットレスの上下面を空気に触れさせることで乾燥を促します。
- やり方:通気性のよい室内に、マットレスの上下面が空気に触れるように立てかける。
- 頻度:3ヵ月に1度程度
なお、マットレスのメンテンナンスのやり易さは、重量と柔軟性に比例します。
【マットレスの種類別 メンテナンのやり易さ比較 一覧】
スプリング | ノンスプリング | ||
ウレタン | ラテックス | ファイバー | |
折りたたむこともできず、重量もあるため、腕力が必要です。 | 厚みのあるタイプでも、重量が軽く、扱いやすいです。 | 柔軟性もあって、ずっしりと重く、最も動かすのが大変です。 | スプリング並みの重量がありますが、通気性がよいため、頻度を減らせます。 |
なお、コンスタントにメンテナンスが出来ない環境や生活スタイルの方は、ウレタンやファイバーの利用がおすすめです。
マットレスの種類|処分方法の比較

処分方法の比較
使っている時に考えることはないものの、買い替えや引っ越しの時に慌ててしまうのが、マットレスの処分方法です。
なお、マットレスを一般ごみとして出すには、細かく分解する必要があり、種類によってはかなり大変です。
スプリングマットレスを一般ごみとして出す方法をまとめました。詳しくお知りになりたい方は、こちらをご覧ください。
【マットレスの廃棄方法 コスト評価 一覧】
スプリング | ノンスプリング |
ウレタン・ラテックス・ファイバー | |
行政の処分場に持ち込むのも、一般ごみとして出せるほど分解するのも大変なコストがかかる。 | カッターがあれば、素人でも細かく分解でき、一般ごみとしても処分可能。 |
ちなみに、わたしはスプリングマットレスを自分で解体したことがありますが、正直、二度とやりたくない程の手間と時間が掛かりました。
もし、スプリングマットレスを処分するなら、迷わず業者さんに1万円払って引き取ってもらう方がコスパがよいと思っています。
\不用品回収業者を探すときのポイント/
不用品回収業者を探すときは、HPを広げていちいち比較するのは面倒なので、複数社の一括見積ができる、以下のような一括見積もりサイト(全国対応)を使うのが効率的です。
また、一般ごみとして処分できるマットレスは、環境への負荷も少ないことが多く、エコロジーです。
マットレス自体が消耗品なので、コストと自然環境への負荷を考えると、ノンスプリングマットレスの方が断然おすすめです。
マットレスの種類|選び方

マットレスの選び方
マットレスは、ウレタン・ファイバー・ラテックス・スプリング(ボンネル&ポケットコイル)といった芯材の特徴が、そのままマットレスの特性となります。
素材によって分類できる 6つの性能 を目安に、自分に最適なものを選ぶのポイントです。
- 価格&耐久性
- 厚さ
- 重さ
- メンテナンス性
- 通気性
- 処分コスト
【一般的な素材の特徴:対照表】
ウレタン | ファイバー | ラテックス | スプリング | |
価格&耐久 | 安価 | 高額 | 高額 | 高額 |
厚さ | FREE | 薄め | 薄め | 厚め |
重さ | 軽い | 普通 | 重い | 重い |
メンテンス性 | 簡単 | 簡単 | 難 | 簡単 |
通気性 | 悪 | 良 | 悪 | 普通 |
処分コスト | 安価 | 安価 | 安価 | 高額 |
※素材品質や特殊加工の有無により、必ずしも上表通りとはなりません。一般的な素材の特徴としてご理解ください。
なお、マットレスは複数の素材を重ねて使うことも多く、素材だけで特徴を判断できない場合もあります。
そのときは、素材の配合割合や置かれている位置を参考に、マットレスの特性を見極めていくことになります。
マットレスの種類|まとめ

マットレスの種類(芯材の違い)でマットレスを比較してみましたが、総合的にコストパフォーマンスが良いのは、断然ノンスプリング系マットレスです。
【ノンスプリング・スプリングマットレス 性能比較 まとめ】
比較項目 | 優位 |
価格 | 同等 |
性能 | 同等 |
耐久性 | 同等 |
メンテナンス性 | ノンスプリング |
廃棄性 | ノンスプリング |
現状、マットレスの性能&価格は、スプリングの有無ではほぼ差がありません。
そのため、迷った時は、軽い・メンテナンスし易い・破棄も簡単な、ノンスプリングマットレスを選ぶのがおすすめです。
【ノンスプリングマットレスは環境にも優しい】
ちなみに、軽くて扱いやすいアイテムは、物流&メンテナンスコストも圧倒的に安いため、環境への負荷も小さくなります。
しかも、ノンスプリング素材は、ダニやカビの繁殖がしにくいので、アレルギー対策にも有利です。
※ラテックスアレルギーの方は注意。

ノンスプリングとスプリングマットレスの比較 については以上です。
よきマットレス選びの参考にしていただけたら幸いです。