起立性調節障害で学校に行きたくない・不登校の対処法

起立性調節障害は、本人の意思とは関係なく身体と頭が働かなくなるのが特徴です。

とても不安な状態ですが、きちんと時間をかけて治療すれば高確率で回復できるので、慌てず今できることをできるだけやっていくのが、障害と向き合うコツです。

起立性調節障害と向き合うときの対処法・勉強法・親の接し方などを紹介しますので、よろしければ参考にしてください。

起立性調節障害で学校に行きたくない症状

子供が「学校に行きたくない・起きれない」と言うとき、大抵の親は無理にでも行かせようとします。

ただし、次の症状が3つ以上当てはまる場合、自立神経系にトラブル が起きている可能性があるので要注意です。

起立性調節機能障害を発症している場合は、本人の意思とは関係なく身体が動かせない状態です。対処しないと重度に悪化する可能性もあるので注意が必要です。

起立性調節障害の症状：軽度はかろうじて学校に行ける

起立性調節障害も、最初のうちは「甘えカナ？」と思える軽度の症状で、学校にもなんとか通えます。

軽度は普通の寝坊や疲れによる寝過ごしとあまり変わらないので、見過ごしてしまうことが大半です。

この段階で治療をはじめられるとすぐに改善される可能性が高く、基本的なセルフケアだけでも改善が見込めます。

起立性調節障害の症状：中度になると学校には行けない

起立性調節障害は、放置すると症状が悪化して、朝に起きられることが極端に減って学校に行くこと自体が難しくなります。

日によって症状の重さが変わるのが曲者で、調子が良いと普通に遊べたりするものだから、さぼり・なまけ・甘えと勘違いされることもあります。

実際には、自立神経系の障害なので自意識でコントロールすることは出来ません。

薬でも劇的な効果は見られないことが多く、時間を掛けて治療するしか方法はありません。

起立性調節障害の症状：重度は日常生活に支障が出る

起立性調節障害が重症化すると、一日中起きれなくなります。

起立性調節障害そのものの症状も重くなりますが、精神疾患を引き起こすと日常生活にも支障が及び、改善の難易度がぐんと上がります。

自力や家族のフォローで回復するのは不可能なので、病院での長期治療が必須です。

見た目的には無気力なだけに見えるかもしれませんが、本人の体力・精神力は相当すり減っているので、ちょっと動いただけで体調が悪化してしまうほど心身共に疲弊しきった危険な状態です。

起立性調節障害はどのくらいで治る？

起立性調節障害は重い症状ですが、適切に処置するとかなりの確率で回復が見込めます。

また、症状が軽いほど治療による効果も早くなります。

起立性調節障害の割合

起立性調整障害を発症するのは、軽度を含めると10人に1人の割合です。

程度の差こそあれ、実はありふれた障害と言えます。

起立性調節障害で学校に行きたくない時の対処法：子供

起立性調整障害は薬物療法では効果が見込めない場合が多く、まずは日常生活の改善から取り組むのが一般的です。

起立性調節障害の子供の対処法1. 夜は早めに寝る

睡眠サイクルに規則性を持たせるために、夜は決まった時間に早めに寝るようにします。

調子が良い日があると、頑張り屋さんほど遅れを取り戻そうと努力しがちですが、翌日に悪化したり治療が長引くケースの方が多いです。

治療中は、なによりも規則正しい生活習慣を守ることに注力しましょう。

起立性調節障害の子供の対処法2. 起きる時はゆっくりと時間をかけて身体を起こす

起立性調整障害は、起立前後の血圧の変化を自立神経系がコントロールできない障害です。

なので、起立するときに身体へ負担をかけないことが大事です。

起立性調節障害の子供の対処法3. 日中に眠くなってもできるだけ身体を起こす

一度目が覚めたら、日中に眠くなってもできるだけ身体を起こして過ごすようにします。

疲れたときは座ったまま安静にするなど、完全に横にならないのがポイントです。

起立性調節障害の子供の対処法4. 激しい運動を避ける

起立性調節障害は、スポーツが得意で活発な人でも発症しますので、調子が良い日はつい遊びたくなりがち。

でも、治療中の激しい運動は悪化するケースが多いです。

病院から許可がでるまでは、調子のよい日でも激しい運動は避けるようにします。

起立性調節障害の子供の対処法5. 塩分と水分は意識的に摂る

起立性調整障害の方は、血液量が少ない傾向にあり、起立性低血圧（起立時のめまい・たちくらみなど）を起こしやすくなります。

そのため、1日あたり2Ｌ前後の水分と塩分10gを摂ることで血液量を増やし、低血圧を防ぎます。

起立性調節障害の子供の対処法6. 毎日30分程度のウォーキングを行う

起立性調整障害になると運動量が極端に減るため、筋力低下が起こりやすくなります。

筋力が落ちると代謝・心肺機能・交感神経系の低下につながるので、筋力低下を防ぐためにも軽い運動をするのはおすすめです。

起立性調節障害で学校に行けない時の勉強法

起立性調整障害のやっかいな症状のひとつが思考力の低下。

起き上がってTVを見たり会話をしたりゲームをすることはできても、文字の認知や論理的思考ができない場合が多く、勉強内容を理解したり答えを導くのはとても大変です。

これは軽い脳酸欠と同じ状態なので、ぱっと見は普通に見えても頭はボーっとして、判断力は異常に低下しているのでとても非効率です。

よって、起立性調節機能障害の方が効率よく勉強をするポイントはただ一つ。

起立性調節機能障害の方は、本来のポテンシャルが低いワケではないので、頭がちゃんと働く時にはきちんとした理解力があります。

基本、日中の思考力には期待できないので、夕方以降の体調に合わせてその都度判断すると良いです。

起立性調節障害になったときの勉強法1. 体調が良いときだけやる

身体を起こすだけでも辛い時は勉強しなくていいです。

頭にも入りませんし、やらなきゃという思いが心をむしばみます。

明らかに「今日つらい…」と感じる時は、「今日は勉強じゃなくて身体を休める日」と決めてしまう方がはるかに建設的です。

起立性調節障害になったときの勉強法2. 認知機能が落ちている時は英語ムービーや動画を視聴する

しばらく文字を見ても情報が整理できない時は、認知機能が落ちている時です。

こうなると無理に学ぼうとしても、記憶もできませんし論理的思考も働きません。

そんな時は、思い切って 動画講座や英語ムービーなどを見て、ニュアンスやリズムを感じ取れる視聴メインの学習に切り替えるのがおすすめです。

視聴で直接的な思考力が見につくことは期待できませんが、英語のアクセントやプレゼンのリズム、効果的な視覚表現の見せ方などを感覚的に学ぶことが期待できます。

これらのセンスは受験勉強には役立ちませんが、大人になったときに必要になる「伝える力を育む」ことに少なからずつながります。

起立性調節障害になったときの勉強法3. レベルを調整した通信講座を受講する

学校を休みがちになる・日中の授業についていけないときは、自分のペースでカリキュラム・レベルを調整して学習できる通信講座を受講するのもおすすめです。

そもそも、起立性調節機能障害は午前中の思考力は低下するので、学校の授業時間帯に学ぶこと自体が困難です。

であれば、脳が正常になる夕方以降に勉強した方が学習効率は上がります。

起立性調節障害になったときの勉強法4. オンライン家庭教師を利用する

自分で学習するのが苦手な方は家庭教師を頼むのも有効です。

中でもオンライン家庭教師は、不登校や起立性調節障害を持った方との時間帯や接し方の相性がすこぶる良いです。

通信講座と比べると、価格が高額なのが難点です。

起立性調節障害で学校に行きたくない時の対処法：親

起立性調節障害の子供に対して、親ができることは子供に寄り添うことです。

見た目は健常者なので、出来ないこと・動けないことのギャップが大きく、ついストレスになることも珍しくありません。

ストレスを減らすポイントは「普通」や「常識」の枠に当てはめて考えることはやめて、目の前の現象にだけ向き合って都度対処することです。

起立性調節障害の子供の対処法1. 塩分と水分をしっかり摂れる食事をさせる

親が子にできる最も基本的コトは、食事のコントロールです。

起立性調節障害は血液量が少ないことが多いので、塩分+水分を多めに摂取させることで血液量を増やす必要があります。

ちなみに、一般的な成人の塩分摂取量としては10gは多すぎなので、シェアしないおかずやスープ類に特別に塩分を足したり、調味料として塩を使わせるなどの工夫が必要です。

食事でのコントロールが難しい場合は、食事とは別に別途塩を舐めさせるのもアリです。

起立性調節障害の子供の対処法2. 結果を出すことを焦らせない

症状があるときは結構辛いですが、正しい治療を続けると重度の場合でも2~3年程度で高確率で回復が見込めます。

また、起立性調節障害の子は、やりたいことが障害のせいで抑圧されてたこともあり、回復後のパフォーマンスとやる気が高めなことも有名です。

今時点では一般の子たちと足並みが揃わなくても、長い人生で比較すると、障害のない子と大した差がないことがほとんどです。

起立性調節障害の子供の対処法3. やりたくても動かない身体とやりたい気持ちを信じる

起立性調節障害の方の状態は、健常者には到底理解できません。

身体の中のロジックが少し違うからこそトラブルが起きているわけで、常識や普通でいくら方程式をくみ上げても、徒労に終わるだけです。

考えても無駄なので、子供の言うことを信じきる方がはるかに楽ですし、たぶん正解です。

起立性調節障害の子供の対処法4. 病院で診断してもらい、学校の先生などに理解と協力を求める

起立性調節機能障害の子供は、ぱっと見が普通の子と変わりないので、誤解されやすいです。

きちんとした診断結果と充分な説明さえあれば、誤解を生みやすい子供の言動に対しても、先生・友達からの理解が得やすくなります。

子供が学校で孤立しないよう、学校とうまく調整してください。

起立性調節障害の不登校は悪じゃない

学校は科目以外にも社会性の育成やコミュニティーの構築といったメリットもあるので、身体が動くなら、可能な限り通わせるのが良いです。

でも、不登校になったからと言って、悲観することもありません。

起立性調節障害の不登校・中退しても学歴は取り戻せる

起立性調節障害の場合、適切な治療をすると社会復帰できる可能性が高いです。

ここが精神病やトラウマを抱えて引きこもりになってしまうケースとは大きく異なります。

また、学校に通えないことで起こる学力低下は、障害が治れば比較的簡単に取り戻せます。

ネットが普及した今、学校に通わなくても好きな時間に学習する方法があるのも、起立性調節障害の方の救いです。

起立性調節障害が分かったら転校してしまうのも選択肢のひとつ

起立性調節障害も中度以上になると、日常生活すら難しくなります。

この場合は、病院の先生と相談しながら通信制学校への転編入も検討してよいかもしれません。

通信制なら、一般の学校と違って学年や留年といった概念はなく、マイペースで利用できるのが魅力。

「学校行かなきゃ！」とか、「留年したくない！」という精神的な足かせからも外れることができるので、心の負担も減らせます。

起立性調節障害のチェックテスト

起立性調節障害は、セルフチェックと病院での検査で診断されます。

起立性調節障害の可能性は11項目のセルフチェックで判断できる

1つめはセルフチェックです。

次の起立性調節障害（OD）症状のうち、3つ以上当てはまるときは障害の可能性があります。

起立性調節障害の正式な診断は病院での検査が必要

セルフチェックで3つ以上該当する場合は、起立性調節障害の可能性があります。

障害を確定する検査はセルフでは出来ないので、病院で詳しく診断してもらいます。

起立性調節機能障害は、身体を起こした時の血圧・脈拍の調整がうまくいかない障害なので、起立前後の状態を細かく計測・判断します。

計測結果から以下4タイプのいずれかに該当すると、起立性調節障害と診断され、症状に合わせた治療を提案してもらえます。

起立性調節障害は何科に行けばいい

起立性調節障害は中学生でも高校生でも小児科にいけばいい

起立性調節障害を発症しやすい年齢が 9-16歳 です。

なので、小学生でも中学生でも高校生でも、ひとまず小児科にかかれば大丈夫です。

心の問題が疑われる場合は、子どもも治療している精神科や心療内科を受診します。

概日リズム障害の違いと対処法

起立性調節機能障害とよく似た症状に、概日リズム障害というのがあります。

概日リズム障害ならセルフでも対処が可能なので、頭の片隅にでも置いておくと良いかもしれません。

概日リズム障害は起立性の症状がない

概日リズム障害は 個人の体内時計がズレてしまうことで起こる自立神経系のトラブルで、発症プロセスと症状が 時差ぼけ とよく似ています。

起立性調節機能障害とよく似ている症状は、朝起きられない・起床時の頭痛・吐き気・不快感ですが、起立に伴う立ちくらみ・動悸・失神といった変化がみられないのが特徴です。

【概日リズム障害と起立性調節機能障害：症状の違い】

症状	概日リズム障害	起立性調節機能障害
朝起きられない	◎	◎
起床後の気分不快	◎	◎
立ちくらみ・めまい	×	◎
起立時の気分不良・失神	×	◎
動悸・息切れ	×	◎

概日リズム障害は光目覚ましで対策するのがおすすめ

概日リズム障害の原因：体内リズムの乱れのシンプルな対策は、寝起きに太陽光を浴びることです。

一見簡単なことに思えますが、起きれない人がカーテンを開けて光を浴びること、天気・季節に関係なく、決まった時間に充分な光を浴びること、どちらも地味に難しいことです。

そこでおすすめなのが光目覚ましを使って目覚める方法です。

ちなみに、市販されている光目覚まし時計のほとんどがは照度が低すぎるか、設置するには大きすぎるかのどちらかです。

朝日と同等の目覚まし効果&概日リズム対策を期待するなら、現状ではムーンムーン社のトトノエライト一択です。