条件反射のように見える寝返り。実は睡眠行動学の観点からも 重要な役割を持っていて、適切なタイミングで・必要な数を・スムーズに・打てる必要があります。

寝返りって何のためにするの?そもそも必要なの?最適化する方法はあるの?‥‥な疑問を解説していきます。
寝返りを最適化する方法も紹介していきますので、よろしければ参考にしてください。
睡眠と寝返り|打てないひとの身体のサイン
寝返りが打てないと現れる身体のサインについて
寝返りが多すぎたり少なすぎると、身体にネガティブな影響がでます。
【寝返りが不適切な時に起こりやすい症状】
□ 寝たのに寝た気がしない。
□ 睡眠時間は充分とったのに身体の疲れが取れない。
□ 夜中にちょっとしたことですぐに目が覚める。
□ 寝起きから、腰・肩・首などが痛い。
起床時に、これらの症状を感じるときは、寝返りが上手くできていない可能性があるので、環境や寝具の見直しをはかった方が良いかもしれません。
睡眠と寝返り|必要&大切な役割

寝返りは、コロコロと転がるだけの単純な反射行動ではなく、睡眠深度を深めるために必要不可欠な睡眠行動のひとつであることが分かっています。
【寝返りの3つの役割】
❶ レム睡眠とノンレム睡眠のスイッチング機能
寝返りという行動が、睡眠の種類を切り替えるスイッチのような役割を果たします。
❷ 体位変換によるストレッチ機能
姿勢を時々変えることにより、うっ血や凝りを分散します。
❸ 深部体温の調節機能
布団内の換気を行い、体温をやや下げた状態(身体が休まる低体温)に維持します。
最も重要なのが❶レム睡眠⇔ノンレム睡眠のスイッチング機構で、寝返り不良が起こると、眠りを深くすることができず、心身の回復力を低下させる要因となります。
レム睡眠とノンレム睡眠のスイッチング機能
睡眠には2つの種類があり、交互に繰り返すことで眠りを深め、心身を効率的に休ませる性質を持ちます。
【睡眠の種類】
- ノンレム睡眠:脳も休息する深い眠り。
- レム睡眠:脳が活性化している眠りの浅い状態。
寝返りには、ノンレム睡眠とレム睡眠を切り替えるスイッチのような働きがあるため、適度な寝返りを打てないと、眠りが深くならず充分な回復効果が見込めません。
睡眠レベルを、覚醒・レム睡眠・ノンレム睡眠で分け、時系列での計測結果(標準パターン)が以下のグラフです。

【表の見方と睡眠サイクル】
睡眠は、ノンレム睡眠とレム睡眠を交互に行うことで、脳と身体の休息サイクルを形成します。
- 眠りにおちると、まずはノンレム睡眠の最深部まで睡眠レベルが下がります(最深はノンレムⅣ)。
- しばらくすると、また浅い眠りのレム睡眠にまで睡眠レベルが上がります。
- ❶→❷のサイクルを、1晩に4~5回程度繰り返します。
このノンレム睡眠⇔レム睡眠を切り替えて、脳と身体を交互に休ませるのが睡眠のメカニズムになっています。
そして、切り替えのキーになっているのが、寝返りという物理行動です。
\睡眠タイプが切り替わる寝返りポイント(赤マル)のイメージ/

上図赤丸ポイントの 起点と終点に寝返りが行われている と仮定すると、一晩に20回~30回程度の寝返りが行われていることになります。
体位変換によるストレッチ機能
体圧が集中してうっ血や痛みが発生すると、自己防衛的に寝がえりを行います。
このタイプの寝返りは、直接的に睡眠サイクルを深めるものではないので、極力発生させないのが理想です。
深部体温の調節機能
体温の上昇は身体が覚醒しやすくなるので、睡眠中に体温・湿度が上がったときは、体温を下げるために寝返りを行います。
【睡眠中に身体が低体温を維持しようとする理由】
- エネルギー代謝を抑制することで細胞の活動を抑制しているため。
- 平熱よりやや低い体温を維持することで覚醒しにい状態を保つため。
体温上昇による寝返りも、睡りを妨げないための対処行為なので、できるだけ発生させないのが理想です。
睡眠と寝返り|適切な回数

平均的な寝返り回数
寝返りは、やり過ぎても少な過ぎても睡眠の質が悪くなります。
- 寝返りが多すぎる:覚醒しやすくなる。
- 寝返りが少なすぎる:レム⇔ノンレムの睡眠サイクルが充分に行われないため、充分な睡眠効果が得られない。
平均的な寝返りの適正回数は次の通りです。
寝返り回数を測る方法
自力で寝返り回数を計測するのは難しいので、症状の有無で寝返りの過不足を診断するのが一般的です。
【寝返り回数過多・不足時があるときの症状】
- 睡眠が浅くなり、休息と回復が不十分になる。
- 身体が凝りやすくなる。
- 睡眠中に、目が覚めやすくなる。
客観的な計測をしたい方、計測器を使いたい方、コンスタントに睡眠環境をチェックしたい方は、睡眠測定器を活用すると詳しく調べられます。
【SLEEPS スリープス 睡眠測定器】
自分で睡眠状態をチェックしたい方は、高性能センサーのウェアラブルが使いやすくておすすめです。
SLEEPSは、指に嵌めて寝るだけで、心拍数、血液酸素、無呼吸低呼吸指数、寝返り、睡眠負債データをストックし、収集データに基づいた睡眠アドバイスをフィードバックしてくれる優れものです。
睡眠と寝返り|打ちやすくする方法

寝返りを最適化する1つ目のポイントは、快適な睡眠環境を整備することです。
特に、不必要な寝返りは環境整備で減らせます。
【不必要な寝返りの要因】
- 室温が不適切。
- 身体の周辺に熱と湿気が籠りやすい。
❶ 室内の温度・湿度を最適化する
室内温度の調整は、エアコンなどで簡単にコントロールでき、効果も高い方法です。
入眠時と入眠中の体温変化に合わせて、空調を調整するのがポイントです。
【睡眠前後の体温変化】
● 入眠時
- 体温(室温)高めが望ましいです。
入眠直前には体温が一度上がり、上がった体温を下げる発汗作用で入眠作用を強くできます。
● 入眠中
- 体温(室温)低めが望ましいです。
睡眠中は深部体温が下がることで、身体の休息効果が高まります。
睡眠前後の室温を調整することで スムーズな入眠 を促すことができ、且つ不要な寝返りも減らせます。
エアコン等の空調設備を利用した室内温度のコントロールは、比較的簡単にできる方法なので、ぜひ取り組んでみてください。
- 湿度:50%~60%
室温:
【夏】25℃~28℃
【冬】18℃~22℃
アロマ:繊細な方はこだわるとよいですが、最終的には自分が一番好きな香りを使うのがおすすめです。
ちなみに、室温調整は、ガチガチに計画するよりも、無理のない範囲で大らかに取り入れていくのが、無理なく続けられるコツです。
【室温調整のポイント】
- 起床時:やや暖かいと感じる温度。
- ベッドに入って1-2時後:やや涼しいと感じる温度。
❷ 身体に直接触れるアイテムを最適化する
身体に直接触れるアイテムは、吸放湿性の高いものほど、蒸れや寝苦しさからくる不要な寝返りや、汗による過剰な冷えを軽減してくれます。
【最適化したいアイテム】
- パジャマ
- シーツ
- 布団カバー
おすすめ素材:綿・シルク、冬ならウールなどの天然素材
ちなみに、寝るときのパジャマには、ぶ厚いもの・重ね着はNGです。
最もおすすめしたいのは、高機能ベッドパッドの活用で、簡単に整えられて1年中使える対策です。
【おすすめは高機能ベッドパッドの有効活用】
おすすめは、帝人製の合成わたを使った、高機能ベッドパッドです。
- オールシーズン利用できる。
- 洗ってもヘタレにくい。
- 有名ブランド並みの品質なのに、半値以下で購入できる。
睡眠と寝返り|打ちやすくする寝具選びとポイント
寝返りを最適化する2つ目のポイントは、快適な寝具を整備することです。
特に、寝返りが不足している方は、寝具を変えることで改善が見込めます。
【寝返り不足の要因】
- 寝具が柔らかく、寝返りが打ちにくい。
- 枕の高さ・形が合わず、寝返りが打ちにくい。
❶ 枕を最適化する
寝返りのし易さに影響するキーアイテムといえば、 枕 は外せません。
【おすすめの枕を選ぶポイント】
最適な枕を選ぶポイントは、次の3点です。
❶ 適切な高さ
高さは、低くても高くても良くありません。
ちなみに、睡眠障害のある方は、低い枕ほどよいという方も多いですが、枕が気になってるだけで、低すぎる枕に根拠となるメリットはありません。
【不適切な高さ デメリット】
- 高すぎる:ストレートネック(スマホっ首)の要因になる。
- 低すぎる:頸椎を痛める・イビキの要因になる。
❷ やや広めの面積
睡眠中は、本人が思う以上に移動するため、広い範囲をカバーする枕が理想的です。
❸ 枕の形状
枕の高さ・広さが最適化されると、寝返りは随分と楽になります。
また、横向き寝メイン・仰向け寝メインで、枕の高さも変わるので、心当たりのある方は、ぜひ興味をもってみてください。
❷ マットレスを最適化する

寝返りのしやすさを強化するなら、マットレスを見直すのが最も手っ取り早く、効果的です。
【マットレスを最適化する方法】
● 高反発マットレスへ買い替える
寝返り重視の方は、高反発マットレスがおすすめです。
近年のマットレスは柔軟性・通気性・保持力を兼ね備えたハイスペックなモデルでも、10万円を下回るリーズナブルな価格で流通しています。
もし、買い替えも検討されているなら、以下のランキングページも参考にしてください。
● 既存のマットレス・敷布団に、高反発敷パッドを追加する
今お使いのマットレスを変えずに、薄めの高反発敷パッドを追加するだけでも、寝返り機能は劇的に向上します。
よろしければ、以下の記事を参考にしてください。
マットレスは、寝返りをサポートしてくれる高反発タイプを選ぶのが、現代のマストな選択です。
睡眠と寝返り|まとめ

寝返りは睡眠活動にならなくてはならないプロセスで、寝返り回数が多くても少なくても睡眠の質を下げます。
【寝返りの適正回数】
- 平均の寝返り回数:20回~30回/1日(2回程度/1時間)
寝返りを最適化するには、睡眠環境の整備と寝具の見直しがおすすめです。
とはいっても、小難しいことは考えずに、爽やかで寝苦しくない空間づくりを目指していくと、自然と自分らしい快適空間に仕上がると思います。
ちなみに、寝返り行動をピンポイントで強化するなら、枕とマットレスを見直すのが最も手っ取り早い方法ですね。
柔らかいマットレスを使われている方・どうにも寝た気がしない方・睡眠の質を上げたい方は、寝返りを最適化してくれるマットレス変更かトッパーの追加を検討するのもおすすめです。