寝具で使われる素材の特徴・メンテナンス方法などをまとめました。
製品の比較・検討・メンテなど、よろしければお役立てください。
マットレスの素材|ウレタン
特徴
ポリウレタンはウレタン結合をもった重合体のことで、素材・製法によって無限のバリエーションがあります。
まとめきれない程たくさんの種類がありますが、寝具では特性を付けて呼ばれることが多いです。
- 反発性能:高反発ウレタン・低反発ウレタン
- 硬さ:◎◎N
- 通気性:オープンセルウレタン・クローズセルウレタン
- 形状:ウレタンファイバー
- …etc。
寝具以外でも、いろんなことに使われていて、日常生活の中で幅広く利用されています。
【その他ポリウレタンの使い途】
- スポーツシューズの靴底
- 塗料・接着剤
- 緩衝材・断熱材
- 伸縮性のあるウェア
- 車のバンパー・インパネ・コンソール
- …etc。
◎ 性能のカスタマイズが簡単
ウレタンは、厚み・カッティング・配合によって、様々な性質を付与できる。

【ウレタンに付与できる性質】
- 弾性
- 衝撃吸収性
- 断熱性
- 耐熱性
- 耐薬品性
- 耐久性
- 抗菌性
- 低反発弾性
◎ 成型・加工が簡単
ウレタンは、カット・発泡成形が可能で、複雑な加工を容易に行える。

【ウレタンで利用できる加工法】
- 直線裁断
- くり抜き加工
- 熱プレス加工
- 型による成型
◎ 接着・一体加工が簡単
ほとんどの素材への接着や縫製ができる。

【ウレタンと接着可能な素材】
- ウレタン
- 金属
- 布
- レザー
◎ 廃棄が簡単
ほとんどの行政では、小さくすれば、燃えるゴミで処分可能になる。

【廃棄し易いウレタンの特徴】
- 手でちぎるorカッターでカットできる。
- ウレタン自体が軽量。
スプリングマットレスの廃棄方法を詳しくお知りになりたい方は、こちらをご覧ください。

◎ ダニに有利

ウレタンは、綿や繊維素材のマットレスと比べ、ダニが繁殖し難い内部構造になっています。
また、素材そのものへ防ダニ加工を施すこともできます。
×:通気性
一般的なウレタンには、通気性はありません。
【通気性を持たせた特別なウレタン】
通気性能を確保したウレタンマットレスは、次のいずれかの対策をしています。
- 微細な空洞をもった特殊構造を形成する。
- 穴あけ・カッティング加工を施す。
×:匂い
ウレタン製品によっては強く残ることがあり、敏感な人は即利用が出来ない事もあります。
【ウレタンの匂い対策】
- 対策:風通しのよい室内干し(しかない)。
- 所要時間:通常は2~3日程度(製品による)。
- 人体への影響:国内正規販売品の場合、人体への影響がないことがほとんど。*
ちなみに、ウレタン樹脂そのものは、元来無臭なんですよ。
【ウレタンマットレスの匂いの元】
ウレタンマットレスの匂いの元は次の通り。
- ウレタンの合成素材(触媒・整泡剤・顔料・難燃剤など)
- 接着材
×:耐熱性
基本的に、ウレタン素材は熱に弱いです。
【熱への脆弱性】
熱により以下の可能性があります。
- 硬化
- 軟化
- 変形
- 柔軟性の消失
メンテナンスやクリーニング方法
マットレスのメンテナンス方法は基本的に次の2つです。
❶ ローテーション
寝る位置はだいたい決まっているため、一箇所にかかる圧力や摩耗を分散し、マットレスの劣化を緩やかにする方法です。
- やり方:マットレスを上下・裏表を反転させる。
- 頻度:3ヵ月に1度程度
❷ 室内干し

湿気を溜め込みがちなマットレスの上下面を空気に触れさせることで乾燥を促します。
- やり方:通気性のよい室内に、マットレスの上下面が空気に触れるように立てかける。
- 頻度:3ヵ月に1度程度
基本的にクリーニング不可です。
マットレスの素材|羽毛
性能データ一覧
通気性 | 吸湿性 | 放湿性 | 保温性 | 耐久性 | アレルギー |
◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | △ |
特徴
羽毛は、たくさんの空気を含むために保温性があり柔らかい素材です。
また、通気性・吸放湿性に優れているため、年間を通して爽やかな使い心地の天然素材です。
寝具で主に使われる羽毛は、ダックとグースです。
【羽毛の種類】
- ダック:アヒル
- グース:がちょう
一般的に、ダックよりグースの方が柔らかく保温性があり、高額です。
【グースがダックより優れている点】
- 大きな羽毛が取れやすい。
- 羽枝にコシがある。
- 羽軸の歪曲性があり、復元力に優れる。
- ダウンボールが大きく絡まり難い。
なお、羽毛は大きく3つの種類に分けられ、配合によって柔らかさや価格が変わります。
【羽毛の種類】
◎ ダウン
- タンポポの綿毛のように、芯が無くまるい形状で、水鳥からしかとれません。
- 非常に軽く、収縮⇔復元性能も高いため、どんな形にも馴染みます。
- たくさんの空気を含むため、保温性が非常に高いです。
◎ フェザー
- 羽根の軸がある羽毛です。
- 羽根軸があるためコシがあります。
- ダウン程ではありませんが、復元性能が高く、保温性が良いです。
◎ スモールフェザー
- 65mm以下の柔らかい羽根の軸がある羽毛(フェザー)を、敢えてスモールフェザーと区別しています。
- ダウンとフェザーの中間の性質を持っています。
布団は、ダウンとフェザーの割合で呼称が変わります。
- 羽毛布団:ダウン50%以上
- 羽根布団:フェザー50%以上
メンテナンスもほとんど要らない優れた素材で、デメリットとしては次の点が挙げられます。
【デメリット】
- 洗濯ができない。
- 高価。
- 羽根が飛び出してくる。
- 匂う場合がある。
- プルーフ加工(羽毛飛び出し加工)による僅かなシャカシャカ音がする。
メンテナンスやクリーニング方法
通常は、軽く叩いて埃を落とし、風通しの良いところで保管するだけで充分です。
基本的にクリーニング不可です。
汚れ・摩耗が酷くなったら、お直しか専用の業者でクリーニングするのがおすすめです。
マットレスの素材|エラストゴムパイプ

性能データ一覧
通気性 | 吸湿性 | 放湿性 | 保温性 | 耐久性 | アレルギー |
◎ | × | × | △ | ◎ | ◎ |
特徴
エラストゴムパイプは、アスリートや医療用クッションの中材に使われる、耐久力のあるゴム製(熱可塑性エラストマー)の中空パイプです。
プラスチック製のパイプと違い、ガサガサとした音やごつごつした触感はほとんどありません。
なお、エラストマーはラテックスを含まないため、アレルギーのある方にも安心して利用できます。
パイプと同様、ストローを細かく切ったような形をしています。

- 触感:弾性があり、径と厚みで調整可能。
- 接触音:ガサガサ音なし。
- 耐久性:3~5年程度。
- 通気性:素材自体は通気性がないが、中空構造につき通気を阻害しない。
- 吸湿性:なし
- 放湿性:なし
- 水洗い:可能。
- 防ダニ・防カビ性能:繁殖しずらい。
- 綿くず:なし。
- アレルギー:なし。
メンテナンスもほとんど要らない優れた素材で、デメリットとしては次の点が挙げられます。
【デメリット】
- 熱に弱い。
- 吸湿・放湿性は皆無。
メンテナンスやクリーニング方法
通常は、軽く叩いて埃を落とし、風通しの良いところで保管するだけで充分です。
熱に弱いので、天日干しはNGです。

クリーニング可です。
熱に弱いので、天日干しや乾燥機にはかけず、水洗い&陰干しします。